ヘルスケア事業に挑戦する企業のための倫理審査ガイド Vol.4

コラム

倫理審査の申請は何から始める?企業が準備すべき書類と進め方【2026年版】

― ヘルスケア企業の研究・実証実験・PoCのための倫理審査ガイド ―

企業で初めて研究や実証実験、PoCを担当する場合、このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

「倫理審査を受けることになったけれど、何から準備すればいい?」

「倫理審査の申請には、どんな書類が必要?」

「実証実験の企画書はあるけれど、このまま倫理審査に出せる?」

倫理審査の申請では、研究計画書をはじめ、研究内容に応じた書類を準備する必要があります。

ただし、倫理審査の準備は、必要書類を揃えることだけではありません。

特に企業の研究・実証実験では、事業としての企画や実施内容は決まっていても、「研究」として必要な事項が十分に整理されていないことがあります。

その状態で書類作成を始めると、途中で追加の確認や修正が必要になり、倫理審査の申請までに想定以上の時間がかかることもあります。

この記事では、企業が倫理審査を申請・依頼する際に必要となる主な書類と、申請前に知っておきたい基本的な進め方について解説します。

1.倫理審査を申請する前に、まず確認したいこと

倫理審査について調べ始めると、「研究計画書を作らないと」「同意書が必要らしい」と、すぐに書類作成を始めたくなるかもしれません。しかし、その前に確認しておきたいのが、「今回の取り組みを、どのような位置づけで実施するのか」という点です。

企業が行う取り組みには、

  • 新しい製品・サービスの実証実験
  • PoC(Proof of Concept:概念実証)
  • アンケート調査
  • 製品・サービスの使用感や有用性の評価
  • 医療機関や大学との共同研究
  • 既存データを利用した分析

など、さまざまなものがあります。

これらすべてが、一律に同じ方法で倫理審査を受けるわけではありません。

研究内容や取得する情報、対象者、実施方法などによって、倫理審査の必要性や準備すべき内容が異なる場合があります。そのため、まずは今回の取り組みの全体像を整理したうえで、必要な対応を確認することが重要です。

2.倫理審査の申請に必要な主な書類

倫理審査を申請する際には、一般的に次のような書類が必要になります。

倫理審査の申請書・依頼書

倫理審査委員会に審査を申請・依頼するための書類です。

申請先の倫理審査委員会によって、指定された様式が設けられていることがあります。

研究計画書

研究の目的や方法、対象者、研究期間、取得する情報、研究の実施方法などを記載する、倫理審査における中心的な書類です。

説明文書・同意書

研究の内容について研究対象者に説明し、必要に応じて研究参加への同意を確認するための書類です。

研究内容によっては、同意撤回書などを準備する場合もあります。

アンケート・質問票など、研究で使用する資料

研究の中でアンケートや質問票、その他の資料を使用する場合、それらも審査資料として提出を求められることがあります。

情報公開文書

研究内容によっては、個別に同意を取得する方法ではなく、研究に関する情報を公開し、研究対象者等に拒否の機会を保障する方法が用いられることがあります。

その場合には、研究内容を説明するための情報公開文書などが必要になることがあります。

その他、研究内容に応じて必要となる資料

共同研究を行う場合や、複数の機関が研究に関与する場合などには、上記以外の資料が必要になることもあります。

なお、すべての研究で同じ書類が必要になるわけではありません。

研究の内容や実施体制、倫理審査委員会によって必要書類や様式が異なる場合があるため、実際に申請する際には申請先への確認が必要です。

3.企業の「実証実験企画書」と「研究計画書」は同じ?

企業の場合、倫理審査を検討する時点ですでに、「実証実験企画書」「PoC計画書」「事業企画書」などが作成されていることがあります。では、それをそのまま研究計画書として倫理審査に提出できるのでしょうか。

必ずしもそうとは限りません。企業の企画書は、「どの製品・サービスを検証するのか」「いつ、どこで実施するのか」「事業としてどのような成果を期待しているのか」など、事業を進めるために必要な情報を中心に作られていることがあります。

一方、倫理審査では、研究としての目的や方法に加えて、研究対象者への配慮や取得する情報の取り扱いなどについても確認されます。そのため、事業としての企画が完成していることと、倫理審査を申請できる状態になっていることは、必ずしも同じではありません。企業の研究・実証実験では、この違いを理解しておくことが重要です。

4.申請書類は「それぞれ作れば終わり」ではない

倫理審査では、研究計画書や説明文書・同意書、アンケートなど、複数の書類を提出することがあります。

ここで注意したいのが、それぞれの書類の内容に矛盾がないことです。

たとえば、研究計画書に記載されている研究内容と、研究対象者に渡す説明文書の内容が異なっていれば、研究対象者に正しい情報が伝わらない可能性があります。また、研究の途中で実施方法を変更したにもかかわらず、一部の書類だけが以前の内容のままになっている、といったことも避ける必要があります。

そのため、倫理審査の申請準備では、単に必要な書類を一つずつ作成するだけではなく、提出する資料全体の内容が整合しているかを確認することも重要です。特に企業の実証実験やPoCでは、社内の企画資料をもとに複数の関係者が書類を作成することもあります。申請直前になって修正が重ならないよう、必要書類を早めに確認し、資料全体を整理しながら準備を進めることをおすすめします。

5.医療機関・大学などとの共同研究では、さらに調整が必要になることも

企業単独ではなく、下記のように複数の組織が関わって研究や実証実験を行うケースもあります。

  • 企業と医療機関
  • 企業と大学
  • 複数の企業
  • 企業・自治体・研究機関

この場合には、研究内容だけでなく、それぞれの機関が研究の中でどのような役割を担うのかなどについても整理が必要になることがあります。

また、「どの倫理審査委員会に申請するのか」「各機関でどのような手続きが必要なのか」といった確認が必要になるケースもあります。

複数の組織が関係する研究では、各機関との調整にも時間が必要になる可能性があるため、早めに確認しておくことが重要です。

6.倫理審査はどれくらい前から準備すればいい?

倫理審査には、研究計画書などの作成だけでなく、研究内容の整理、関係者との調整、申請手続き、倫理審査、審査後の修正対応など、複数の工程があります。また、企業の場合には、契約や社内手続きなどに時間が必要になることもあります。

そのため、倫理審査に必要な期間は、審査そのものにかかる期間だけで決まるものではありません。

研究内容がどこまで整理されているか、必要な書類が準備できているか、共同研究先との調整が済んでいるかなど、申請時点での準備状況によって、研究・実証実験を開始するまでに必要な期間は変わります。

たとえば、「来月から実証実験を始めたいので、今月から倫理審査の準備を始めたい」という場合でも、準備状況によっては対応できるケースがあります。一方で、研究内容の整理や書類作成、関係者との調整がこれから必要な場合には、その分の準備期間も見込んでおく必要があります。

研究・実証実験の実施時期が決まっている場合には、研究計画書が完成してからではなく、できるだけ早い段階で倫理審査について確認しておくと安心です。

ヘルスケアサーカスでは、実施希望時期や現在の準備状況を確認しながら、進め方をご案内しています。「急いで倫理審査を進めたい」という場合も、まずはご相談ください。

倫理審査に必要な期間や費用については、関連記事でも詳しく解説しています。

7.まだ研究計画書がなくても相談できる?

倫理審査について相談する際、「研究計画書を完成させてから相談しないといけない」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、初めて研究や実証実験を行う企業の場合、下記のような段階で困ることも少なくありません。

「そもそも倫理審査が必要なのかわからない」

「何を準備すればいいかわからない」

「企画書はあるけれど、研究計画書はまだない」

「医療機関と一緒に実施したいが、どう進めればいいかわからない」

ヘルスケアサーカスでは、完成した研究計画書に対する倫理審査だけでなく、企業の研究・実証実験の企画段階から、研究設計、申請準備、倫理審査までご相談いただけます。

「まだ倫理審査を依頼する段階なのかわからない」という場合でも、まずは現在の状況を整理するところからご相談いただくことが可能です。

まとめ 倫理審査の準備は「書類を揃えること」から始まるとは限らない

倫理審査を申請する際には、一般的に研究計画書、申請書・依頼書、説明文書・同意書、研究で使用する資料などを準備します。ただし、必要な書類は研究内容や申請先によって異なります。

企業の研究・実証実験で特に重要なのは、「必要書類を揃えること」だけを倫理審査の準備だと考えないことです。

事業としての企画が決まっていても、研究として必要な整理が十分に行われていない場合があります。また、研究内容や関係機関との調整状況によって、申請までに必要な準備や期間も変わります。

ヘルスケアサーカスでは、企業の研究・実証実験・PoCについて、倫理審査の要否判断から、研究設計、申請準備、倫理審査まで一連の支援を行っています。

「何を準備すればいいかわからない」

「実証実験の企画はあるが、研究計画書はまだ作成していない」

「自社の場合、どこまで対応が必要かわからない」

「実施時期が決まっているので、できるだけ早く進めたい」

といった段階でもご相談いただけます。

倫理審査や研究・実証実験の進め方でお困りの場合は、お気軽にヘルスケアサーカスまでお問い合わせください。

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