ヘルスケア事業に挑戦する企業のための倫理審査ガイド Vol.8
倫理審査を早く受けたい!迅速審査と外部IRBへの委託方法【2026年版】

「研究や実証実験を始めたいのに、倫理審査が終わっていない」
「社内に倫理審査委員会がない。外部に依頼すると、どのくらい時間がかかる?」
「できるだけ早く審査を受けたいけれど、どこに相談すればいい?」
研究や実証実験の開始に向けて、倫理審査のスケジュールが気になる方も多いのではないでしょうか。
特に企業の場合、製品開発や事業計画との兼ね合いから、研究開始までの時間が重要になることもあります。
そんなとき、選択肢の一つとなるのが、外部の倫理審査委員会(IRB)への委託です。
ただし、倫理審査には「通常審査」や「迅速審査」などの方法があり、研究内容によって適用できる審査方法が異なります。
また、審査が早く行われたからといって、必ずしもすぐに研究を開始できるとは限りません。
今回は、倫理審査をできるだけスムーズに進めたい企業の担当者に向けて、迅速審査の基本的な考え方、外部IRBへの委託方法、審査期間や準備のポイントを解説します。
1.倫理審査を早く受けるには?外部IRBへの委託という選択肢
倫理審査が必要になったとき、まず確認したいのが「どこで審査を受けるか」ということです。
企業によっては、社内に倫理審査委員会を設置していない場合もあります。
また、医療機関や大学との共同研究であっても、研究内容や実施体制によって、どの倫理審査委員会に申請するかを検討する必要があります。
そのような場合には、外部の倫理審査委員会(外部IRB)に審査を依頼する方法があります。
ただし、外部IRBであれば、どこでも、どのような研究でも審査できるわけではありません。
委員会によって、受け付けている研究の種類や申請条件、審査方法、スケジュールなどが異なります。
そのため、研究開始を急いでいる場合には、自社の研究を受け付けてもらえるか、いつ審査を受けられるかを早めに確認しておくことが大切です。
外部IRBの選び方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶ 関連記事:倫理審査の外部委託先はどう探す?企業が知っておきたい外部IRBの選び方【2026年版】
2.迅速審査とは?「早く審査が終わる」という意味ではない
倫理審査について調べていると、「迅速審査」という言葉を目にすることがあります。
名前だけを見ると、「通常よりも早く審査してもらえる方法」と思うかもしれません。
しかし、迅速審査とは、単に審査期間を短縮するための制度ではありません。
通常、倫理審査委員会では、委員が集まって研究内容を審議します。
一方、迅速審査では、一定の条件を満たす研究について、倫理審査委員会が指名する委員によって審査を行うことが認められています。
どのような研究が迅速審査の対象になる?
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」では、迅速審査の対象として、次の5つが定められています。
- 多機関共同研究で、すでに研究全体について倫理審査を受け、適当であるとの意見を得ている場合
- 研究計画書の軽微な変更
- 侵襲を伴わず、介入も行わない研究
- 軽微な侵襲を伴うものの、介入は行わない研究
- 利益相反の確認が必要な研究者等の追加
例えば、アンケート調査や既存のデータを用いた観察研究などでは、研究内容によって迅速審査の対象となる場合があります。
ただし、アンケート調査であれば必ず迅速審査になる、というわけではありません。
また、研究に「侵襲」や「介入」があるかどうかは、日常的な言葉の意味だけで判断できるものではなく、指針に基づいて確認する必要があります。
「自社の研究は迅速審査の対象になる?」「できるだけ早く倫理審査を受けたい」
そのような場合には、ヘルスケアサーカスにお気軽にご相談ください。
研究内容や実施体制などを伺い、迅速審査の対象となる可能性や、審査に向けて必要な手続きについてご案内します。
3.外部IRBに倫理審査を委託するには?
外部の倫理審査委員会に審査を依頼する場合、一般的には次のような流れで進みます。
① 審査の受託可否を確認する
まず、研究概要をもとに、外部IRBで審査を受けられるか確認します。この段階で、研究内容や実施体制、希望するスケジュールなどを伝えておくと、その後の手続きを進めやすくなります。
② 必要書類を準備する
研究計画書や説明文書・同意書など、研究内容に応じた書類を準備します。必要な書類は、研究の種類や申請先によって異なります。
③ 倫理審査を申請する
必要書類を提出し、委員会の定める手続きに従って審査を受けます。書類に不足がある場合などには、受付前に追加提出や修正を求められることもあります。
④ 審査結果を確認する
審査結果によっては、研究計画書等の修正や追加説明が必要になる場合があります。
⑤ 研究開始に向けた手続きを進める
倫理審査委員会の審査結果を踏まえ、研究機関の長による実施許可など、適用される指針や実施体制に応じて必要な手続きを行います。倫理審査委員会から審査結果が通知されたことと、研究を開始できることは必ずしも同じではありません。
4.外部IRBの審査にはどのくらいの期間がかかる?
倫理審査を依頼する際、特に気になるのが審査期間ではないでしょうか。
実際に必要となる期間は、研究内容や審査方法、申請書類の準備状況、委員会の開催スケジュールなどによって異なります。
また、「審査にかかる期間」と「研究を開始できるまでの期間」は分けて考える必要があります。
ヘルスケアサーカスでは最短1週間で審査結果を通知した実績も
ヘルスケアサーカス株式会社が運営する倫理審査委員会では、過去に、正式受付から最短1週間で審査結果を通知した事例があります。
ただし、これは過去の実績であり、すべての研究について同じ期間で審査結果を通知することを保証するものではありません。
研究内容や申請書類の状況などによって、審査に必要な期間は異なります。また、審査結果によっては、追加の説明や修正が必要になる場合もあります。
そのため、研究開始までのスケジュールを検討する際には、審査期間だけでなく、その前後に必要な手続きも含めて考えることが大切です。
▶ 関連記事:倫理審査の費用・期間はどのくらい?研究・実証をスムーズに進めるためのポイント
5.審査が早くても、研究をすぐに開始できるとは限らない
例えば、倫理審査が1週間で実施されたとします。
しかし、審査の結果、研究計画書や説明文書について修正が必要になった場合はどうでしょうか。
修正内容を確認し、必要な資料を整え、再度確認を受ける。その対応に時間がかかれば、結果として研究開始が予定より遅れる可能性があります。
もちろん、審査で指摘や修正が発生すること自体が悪いわけではありません。
倫理審査は、研究対象者の権利や安全、研究の倫理的・科学的な妥当性などを確認するための大切な手続きです。
必要な確認や修正は、適切に行わなければなりません。
大切なのは、審査が何日で終わるかだけではありません。
申請前に研究計画や必要書類を整理しておくことで、審査中・審査後の確認や修正を減らせる場合があります。
研究開始を急いでいるときこそ、申請前の準備を大切にする。
一見遠回りに思えるかもしれませんが、それが結果として研究をスムーズに進めることにつながります。
申請準備に不安がある場合は?
例えば、
「この研究計画書の内容で申請できるのだろうか?」
「説明文書や同意書は、どこまで準備すればよいのだろう?」
「共同研究先との役割分担は、これで問題ないのだろうか?」
このような疑問を抱えたまま、申請準備を進めている場合もあるかもしれません。すべてを自社だけで判断する必要はありません。研究計画の作成や申請資料の準備に不安がある場合には、研究倫理や研究設計の専門家に相談することも一つの方法です。
わからないことを、わからないままにしない。
それも、研究をスムーズに進めるための大切な準備の一つです。
なお、研究計画に関する助言と、倫理審査委員会による審査は、それぞれの役割を区別し、審査の独立性や公正性を確保することが大切です。
6.ヘルスケアサーカスの倫理審査・研究運用支援
ヘルスケアサーカス株式会社では、企業の研究・実証実験を対象とした外部IRBによる倫理審査の受託や、研究の準備・運用に関する支援を行っています。
外部IRBへの委託をご検討の場合には、研究内容や実施体制などを伺い、審査の受託可否や必要な手続きについてご案内しています。
また、研究計画書の作成や申請準備に不安がある場合には、倫理審査とは別に、研究設計や申請資料の準備に関するご相談にも対応しています。
「外部IRBに倫理審査を依頼したい」
「できるだけ早く審査を受けたい」
「申請準備について相談したい」
そのような場合には、お気軽にお問い合わせください。
【倫理審査・研究運用支援について詳しく見る】
よくある質問(FAQ)
Q1.迅速審査であれば、通常審査より早く承認されますか?
必ずしもそうとは限りません。
迅速審査は、一定の要件を満たす研究について認められる審査方法であり、短期間での承認を保証するものではありません。
審査に必要な期間は、研究内容や申請書類の準備状況などによって異なります。
Q2.自社に倫理審査委員会がなくても、外部IRBに委託できますか?
はい。外部からの審査依頼を受け付けている倫理審査委員会に委託する方法があります。
ただし、受託できる研究の種類や申請条件は委員会によって異なるため、事前の確認が必要です。
Q3.アンケート調査であれば迅速審査を受けられますか?
アンケート調査であることだけを理由に、迅速審査の対象になるとは限りません。
研究内容や対象者への負担、取得する情報、適用される指針などによって判断が異なります。
Q4.倫理審査は最短何日で受けられますか?
審査期間は、申請先の委員会や研究内容、申請書類の準備状況などによって異なります。
ヘルスケアサーカスでは、過去に正式受付から最短1週間で審査結果を通知した事例がありますが、すべての研究について同じ期間で審査できることを保証するものではありません。
Q5.倫理審査の申請前に、研究計画書について相談できますか?
はい。ヘルスケアサーカスでは、倫理審査の受託とは別に、研究計画や申請資料の準備に関するご相談にも対応しています。研究内容や準備状況に応じて、必要な支援をご案内します。
なお、研究計画に関する助言と倫理審査は、それぞれの役割を区別し、審査の独立性・公正性に配慮して実施します。