医療やヘルスケアの分野では「匿名加工情報」という言葉を耳にする機会が増えました。
しかし、実際にはこの定義を誤解しているケースが少なくありません。匿名加工情報を正しく理解しないと、研究の信頼性を損ねたり、不要と思っていた倫理審査が実は必要だったという事態につながります。
匿名加工情報によくある誤解
匿名加工情報=「名前を消せばよい」「ID化すればよい」と思われがちです。
しかし、それだけでは匿名加工情報とは言えません。
たとえば
- データ提供者に質問すれば、特定の患者背景がわかってしまう
- 別のリストに氏名や住所が残っており、照合すれば誰かを特定できてしまう
このような状態では「匿名化」にはなっていても、「匿名加工情報」とは呼べません。
匿名加工情報の正しい定義
法律上、「匿名加工情報」とは:
- 個人を特定することができないように加工されている
- 加工元の情報を保持している組織があっても、そこから個人を特定できない
- どの企業や組織が扱っても、照合による特定が不可能
この状態を満たして初めて「匿名加工情報」と呼べます。
倫理審査との関係
匿名加工情報であれば倫理審査は不要です。
しかし実際には、匿名加工情報と呼びながらも、定義を満たしていないケースが見られます。その場合、取り扱っているのは「個人情報」であり、倫理審査が必要になるケースもあります。
まとめ:匿名加工情報は「言葉」より「定義」が大事
「匿名加工情報」という言葉を使うことよりも、定義を満たしているかどうかを確認することが重要です。
誤解したまま進めると、研究の公開や企業活動に大きなリスクをもたらしかねません。
ヘルスケアサーカスでは、
- データが匿名加工情報に該当するかのチェック
- 倫理審査の要否判断
- 研究デザイン段階での相談
を承っています。
データ活用に不安がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。